「錫」製品のお手入れ

2011.06.07  金属工芸品のお手入れ

この日本では、第二次世界大戦時に「金属の供出」が有りました。生活の身の回りから金属製品がほとんど消えてしまい、それを上手に使い、維持手入れするための文化が消失してしまいました。

「お手入れをどうしたらいいのか」大変多くのお客様から尋ねられます。実は特別な手入れは全く必要ないのですが、必要最低限の約束事がございます。このページでは当工房が江戸期の創業当時より得意としてきた「錫(すず)」製品のお手入れをご案内します。

 

1、火の傍に置かない

融点の低い金属です。コンロや火鉢の傍に置いておきますと、あっという間に溶解します。
240℃前後で溶け出します。もちろん、湯煎程度なら全く問題ございません。

 

2、冷凍庫に入れない

氷点下の極低温で、稀に変質することがございます。
ナポレオンの軍隊がロシアに敗れた原因のひとつに、これが伝説として挙げられています。
極寒の雪山で、防寒コートのボタンが変質し崩壊してしまったのが敗因とか。

他には特にありません。よくよくお使い込みいただきますと、深い味わいが増してまいります。酸化や腐食にも大変強い金属です。変色もほとんどしません。
汚れが取れにくい場合は、スポンジに練り歯磨きをつけて洗うとよいでしょう。
半年に一度、綿のタオル等柔らかい布で乾拭きすることもお勧めします。

(写真は、料亭K井様にて五十年前後お使いの銚子。ところどころ凹んでいましたが、良い状態が保たれています。凹みを治し、手の歪みを修正しました:清課堂工房より)