2014年 エキシビション&パーティー を終えて

2014.11.04  コラム 展覧会 展覧会レビュー 清課堂の日々

2014年9月20日、秋風がそよぐ中、中京区寺町丸太町のホテル「THE SCREEN(ザ・スクリーン)」にて、私、七代目山中源兵衛と打物師・池田治彦のエキシビション&パーティー「STAY GOLD(ステイ・ゴールド)」を開催いたしました。

 

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テーマは「大人の男」。

20年来、互いに切磋琢磨してきた私と池田治彦が45歳を迎え、歳を重ねた大人がじっくりと自分を楽しむ時を思い制作したシャンパンクーラー、ショットカップ、スキットル、煙管(きせる)、シガーケースなど約30点を展示するとともに、オープンテラスには実際に使用できる作品としてシガー専用の灰皿を配したシガーコーナーを設け、かねてより親交のある京都を代表する建築家、デザイナーや写真家をはじめとするクリエ―ター、企業経営者の方々などおよそ60名のゲストにお招きし、新作を楽しんでいただきました。

普段は、店舗の奥にある蔵や茶室で展覧会を開催しておりますが、今回は趣向と場所を変え、このようなパーティーを発表の場とし、通常、展覧会では触れる事が難しい作品の真価や作者の核心を味わっていただきたいという思いから、ドン・ペリニヨンなど世界のプレミアムブランドを扱う洋酒の輸入代理店モエ・ヘネシー・テアジオ株式会社の協賛や、オーセンティックバー・雪月花サロンのご協力のもと実現いたしました。日常を離れ少し贅沢な空間で、シャンパン、コニャック、ウイスキー、ラム、ポートワインと、キューバンシガーを燻らす、心地よい音楽が流れ、気心の知れた知人友人がいる……そんな“人”と“場”と“モノ”の関係性が響き合う中で、作品も真の輝きを放ってくれたのではないかと思っております。

 


 

私と池田治彦が尊敬する千家十職の釜師、大西家の十六代当主・大西清右衛門氏をゲストとしてお招きし、パーティーの中で鼎談を行いました。その時の大西氏の言葉を、ここに要約してお伝えしたいと思います。

 

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—今、時代が変わってきています。

京都人はよく「いけず」だと言われますね。たとえば近所に新しい店やホテルなどがオープンしても様子をうかがってすぐに訪れることはしないので、よそから来た新参の方々は「なかなか京都の人は応援してくれない」とおっしゃいます。でもこれは「いけず」ではないんです。実は皆、「頑張ってはるかな」と遠巻きながら陰から注目して応援しているんです。

明治以降、伝統工芸の世界における「作家」という存在が世に認められるようになりましたが、同時に裏方として作家を支える「影役者」が数多く存在してきたことも見過ごすことはできません。
しかし今、才能と情熱のある職人は影役者にとどまる必要はありません。私は若い2人がこれからどのように世に出ていくかとても楽しみにしています。京都の外へ、世界へ歩み出せるよう、みなさん陰からと言わず、正面から応援してあげてください。作品を観て、意見をしてあげるだけでもいいのです。職人はモノと向き合っていますから技術ばかりが先だってしまいますし、実は人付き合いはあまり得意ではなかったりします。どんな些細な意見でも批判だっていいのです。様子をうかがうのではなく、みなさんの感じたことを意見することが、作家を応援することにつながります。

 


 

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満を持して挑んだエキシビション&パーティーは、「海外でも開催し、世界中にアピールするべきだ」等、ご出席いただいた皆様から大変高い評価をいただくことができました。今後、国内に限らず、海外においても“人”と“場”と“モノ”の関係性を創り、開催していきたいと夢ををふくらませています。

今回発表の作品たちの一部は、清課堂ウェブサイト、Facebookなどで順次ご紹介させていただきます。どうぞお楽しみに。

山中源兵衛

 

*「STAYGOLD」とは、アメリカの映画の台詞や歌の詩によく登場するフレーズ。人生においてきらめきを大切にいつまでも輝き続けるという意味。今回は、歳を重ねるごとに魅力が増してゆく男性の姿をイメージし、制作した新作と重ね合わせ、一夜限りの展覧会のタイトルとさせていただきました。