小山泰之×山中源兵衛 対談 「REPEATING」

2013.04.30  トークイベント 小山泰之 展覧会

2013年3月26日(金)「REPEATING」レセプションパーティにて、小山泰之と清課堂当主山中源兵衛によるギャラリートーク(対談形式)を行いました。

 

自分の世界観を表現する

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山中源兵衛(以下山中): 大学は東北芸術工科大学へ進まれ金工を学ばれましたが、もともと金属、アルミにはご興味があったのでしょうか?

小山泰之(以下小山): はい、2回生からコースを選択できるのですが、迷わず金属を選びました。ただ金属の素材感が好きで、何を作りたいかもよく解らずに金工に進みました。
たまたま先輩の勧めで応募したテーブルウェアのコンテストで大賞を頂いたたことが、その後の器物制作へのきっかけになったと思います。アルミを選択した理由は周囲にそれを扱う人がいなかったから。伝統的に扱われてきた素材じゃないということも研究しがいがあると思いましたし、当時は将来への不安から競争相手が少ない方がやっていきやすいと考えていました。

山中: 前回の個展から3年が経ちました。以前もそうでしたが、案内状のデザインやムービーの製作など、外注ではなく幅広くご自身で手がけてらっしゃいますよね?

小山: やはり展覧会というのは、自分の世界観を表現する場でありそれをしっかり感じて欲しいと願っています。作品や展覧会においての「伝える」作業は、世界観を大切に構成を考えています。

山中: 私が小山さんの作品に惹かれる要素の一つなんですが、余白とか間合いのとり方とか、空間の使い方が絶妙なんですよね。案内状のデザインひとつとっても秀逸だと思います。一方で、反抗的で天邪鬼な一面も作品に強く表れています。

小山: 間合いや空間の使い方は特に気を使っています。自分が表現したい世界観は空間の中でモノをどのように存在させるかが重要です。反抗的で天邪鬼な一面も確かにありますね。周囲を見渡しても表層的な亜流のモノが多く溢れ、それに反発してしまったり。素直な側面があるから、皮肉的な側面も出てくる、その二面性が混在しているのも自分らしいと思います。

 

行為に焦点を当てたアプローチ

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山中: 工芸とは?という問いに対して、今回の展覧会では小山さんの考えるその答えを明示しているようですね。展覧会を取材いただくメディアの方から、小山さんの肩書きについて問い合わせが複数あって、彫刻家?造形作家?どう書きましょう、と聞かれたときに工芸家と答えました。工芸というキーワードにこだわってらっしゃいますね。

小山: 工芸という概念がどこからどこまでなのかあいまいで、さらに広がりよりアートに向かっている傾向も見て取れます。その中で「工芸とはこういうものだ」と言いきるのも難しくなっています。モノの表層だけ見ていては何も見えてきません。良いモノを作ってさえいればやっていけると思っていましたが、そうもいかない。今回は根源的なところを探り、「行為」に焦点を当てアプローチしています。その手法がすごく工芸的だと考えています。

 

行為が反復され続ける

山中: 最後にこの展覧会のみどころと、「REPEATING」というテーマについて教えて頂けますか?

小山: まさにその名のとおり「繰り返す」という事です。毎日同じ行為を反復している事に意味を見い出しました。行為は反復され、生み出されたアルミボールはその行為に呼応し造形も反復されていきます。行為が反復され続ける事で、造形はどんどん増大していきます。今回の展示ではそんな「REPEATING」の世界感を是非体感して頂きたいと思います。