フィレンツェ研修 3 活動の内容

2012.04.11  清課堂の日々

研修活動最終報告、このたび製作してきたものです。

一週間目は、打ち出しの初歩から、取り組むことになりました。
清課堂でしていることと作業の内容がかなり違う、ということで一旦普段の仕事は忘れ、もう一から始めるしかないと心を決めました。 

打ち出しは6年前に一度やったことがあるくらいですっかり忘れていましたし、日本とやり方が違うこともありました。ちょっと紹介するには下手すぎる、、、とも思いましたが、そこはお見逃しください。
実は、今回のために、プログラムを考えていただいていました。どうやら、今後打ち出しの教室を開こうと検討中だそうで、生徒を教えるシュミレーションとしてもお役に立てたようです。こちらで役に立てそうなことがあまりないかも…とあせっていた私は、それを聞いて少々安心しました。

 
まずはプロフィーロとよばれる鏨を使って、まっすぐな線をひく練習です。

鏨の持ち方を習いました。 

曲がっていますね。。。手(精神もかも)が安定していないと、すぐふにゃふにゃ線になります。日本の彫りも、まずはひたすらまっすぐの練習、と言っていたのを思い出しつつ作業。次にカーブの線。やっとなんとか慣れてきました。

打ち出しのための絵の描き方をならい

先生

私の絵
打ち出しに取り掛かり、1週目の最後お花チンクエペタル(五枚の花びら)を完成

二週間目

りんご

レモン

りんごまでは、表からのみの作業でしたが、レモンから裏から鏨で出し(ズバルツォ)、ひっくり返して表から作業する方法に取り組みました。へこますほうが、前に来るー反転するので少々考えなくてはなりません。 
この1~2週の間、コラボレーションでお皿を作りたいと提案していたのですが、具体案がなかなかまとまらず、ずっと考えていました。お皿の形は、熟練の職人ロランドさんに、へら絞りという加工にて作っていただきました。真鍮製です。2週目土曜日に午後から出勤、まとまった案を見せて何度目かの相談、OKをもらい、今回のコラボレーション事業のお皿の製作に取り掛かりました。裏から凹凸を出し、表を加工します。

残りの3週目取り組んだ結果、ここまで。

 
こちらのお皿は、直径30cm程で、料理を載せるお皿の下皿として使えるものです。もしくは菓子皿に使いたいと思い製作しました。Foflia社で習った打ち出しを使用し、“四季”をフィレンツェの草花・果実で表しています。習った草花―特に最初に取り組んだチンクエペタル(五枚の花びら・春)-を取り入れています。
なお、きれいに枠内に収めるのではなく、わざとはみ出し気味に。大胆な切り取りーも日本的感性かもかもしれない、と意見をいただいたことを参考に。(そんなに大胆ではないですが)図柄と対比される、鎚目的な部分は、清課堂の錫の石目と呼ぶ、鎚目の肌合いをイメージして取り入れました。この鏨、こちらでは何かの背景に使う、もしくは植物などの肌など、メインとしては使わないようでしたが、コントラストで打ち出しを引き立ててくれると思います。
 
最後に、日本の鏨を使ってサインを入れさせていただきました。
洋彫りの鏨、と日本の彫りの鏨は全く違うため、これはちょっとめずらしがってもらえたかもしれません。

 
残りの仕上げはマエストロが“任せとけ”と言ってくださったので、お任せし、安心して帰路に着きました。仕上りは、鍍銀をされてきらきらになる予定。お皿自体はフィレンツェに残るのですが、写真を送っていただけるとのことで楽しみにしております。

今回、作業の中で清課堂での技術を直接生かす、という場面はあまりありませんでしたが、習った基本を忠実にすることや、師匠が作業をされているときは、指先を見るのみでなくどんな腕か、どんな姿勢か、全体を観察すること―など意識し、役に立ったのは、清課堂で学んだことでした。そのおかげで比較的(あくまで個人比)速く、打ち出しをある程度まで形に出来たのではないかと思います。

 フィレンツェでは、楽しいことが沢山ありました。ただ自分の力不足や、知識の中途半端さ、もっともっと学ばなければならないことが沢山あること、など改めて気づくことや反省することが沢山ありました。今回の経験を自分の仕事にどのように反映させていけるのか、考えています。

また、今後も Foglia Argenteria社との交流を続けていきたいです。ちょうど4月に、Forlia社の中村さんが東京にて展示会をされるとのこと、京都にもよっていただけるそうなので、清課堂をご案内しようと思っています。
清課堂の皆でフィレンツェにいけたらいいなぁ、などと夢みております。
 
最後に、この場を借りまして、フォーリア社のみなさんはもちろん、支えて下さった通訳さん、お世話になったたくさんの皆様に心から感謝します。