フィレンツェ研修 2 工房の様子

2012.04.09  清課堂の日々

フィレンツェより戻ってまいりました。Staff Suiー水藤です。
3月、京都府とトスカーナ州の交流事業にて、フィレンツェのFoglia Argenteria社に3週間滞在し、研修とコラボレーション活動をして参りましたーそのご報告です。

 

訪れた工房はフィレンツェの中央駅からバスにのり20分ほど、郊外の住宅地にあります。スタッフは、現在マエストロを含め4人なのですが、清課堂のお店舗部分の...6倍以上ありそうな広い工房でした。
こちらにはショールームはありますが店舗はなく、工房のみです。道具、機械類もとても充実しており、ほとんどのものをここで作り上げることが出来るようです。
ねこが約16匹も!いたり、庭に大家さんの畑や桜の木があったり、とても素敵な工房でした。

マエストロの年齢が清課堂の7代目と同じことや、家族経営のアットホームな感じ、少し清課堂と共通する雰囲気があるな、と感じていました。
なお三時のお菓子の時間(清課堂にはあるのです。ミーティングも兼ねます。)はないのですが、イタリアらしく朝・昼食後・夕方、とエスプレッソを飲むカフェタイムがありました。

銀の工房でどれだけ対応できるだろうか、とびくびくしながら初日の紹介へ。
チェックの目が鋭いマエストロ、日本の職人さんと同じ目だ!!と思いました。

清課堂での私の仕事と違う点が多くありました。
普段の仕事では、金属の中では比較的やわらかい錫を使用しています。
表面加工も、石目、鎚目、杉目などを使い、肌合いを大切にしたもので、装飾的な加工は、時折しか手がけていません。

一方 こちらのFoglia社では、銀を、真鍮、銅を主に使用しています。
打ち出しがメインで、動物、植物などのモチーフを使った装飾的なものが多く、かなりサイズの大きいものが多くありました。

フィレンツェスタイルは意外とグロテスク...なことにもびっくり。

作り方も日本と違うやり方も多く、大雑把、と初期はびっくりしていたのですが、だんだん腕があるからこそ、また次の工程がどうなるかわかっているからこそ出来るのだな、と腑に落ちました。また、動物の造詣など、ざっくり全体を捉えるのが上手いなとも思いました。日本では、小さく作り、細部までの作りこみが多いのが個人的な印象ですが、細部の作りこみは日本ほどには必要が無い様。(注意:工房のスタイルにもよりますが)部屋の大きさの違いが関連するのでは、と通訳の横山さんに言われてなるほどと思いました。大きな部屋に沢山の置物を並べているイタリアと、小さな部屋で一つ一つの物をじっくり見ていくような日本と。(茶道のイメージです。)

道具も基本は同じなのですが、様々な違いがありました。
金槌の形、日本のはまっすぐのものが基本ですが、打ち出し用の金鎚は持ち手の部分が丸くなっていて、そこを握るようになっていました。

鍛金に使用するあてがねと呼ぶ道具も、日本では木台に固定し、座って使用するのですが、こちらでは万力に挟んで(短いものが多い)、立って作業しておられました。砂袋、をクッションに、形を整えたりする時に使われていたのも、清課堂では見たことのないものでした。

工房では、 マエストロ ロレンツォさんに監督、ポイントで指導をしていただきました。またこちらの工房には7年働いておられる日本人の中村さんがいらっしゃって、直接の先生をしていただきました。アドバイスやサポートをしていただいたり、大変お世話になりました。またアート、そして歴史に造詣の深い通訳の横山さんにも様々なことで助けていただいていました。

平日は朝9時半くらいのバスに乗って行き、朝のお仕事・作業→一時半くらいにランチタイムを2時間くらい(この時期日本より暖かくて庭でお昼ご飯をしていました)→お仕事→ そして18時で工房は一応閉まる-らしいのですが、私の滞在中は仕事が忙しいようで、残業されていたり、自分のものを製作されていたり、遅くまで働かれていました。マエストロは製作したり、プレゼンに行ったり、出入りが多い、仕事速いのも清課堂7代目に似ているなぁ…と思いつつ。私は、帰りは大体7時くらいのバスに。後半になるにつれ8時くらいまで作業をしていました。土日はお休みです。ただし、最後は土日もお昼から工房へ行っていましたが。実はそのときも、マエストロが仕事されていて、ちょっとびっくりしました。

さて、活動の内容は…また次回紹介させて頂きます。