鍍金(メッキ)のアンティークポット

2010.03.15  茶の器

過日持ち込まれたものは、アンティークのポット「クリストフル」製。刻印を見たところ、30~40年ほど前に製作されたものの様です。お客様は、クリストフル社代理店へ直接修理の依頼をされたそうですが「不可能」との返事。めぐりめぐって弊堂へ。

材質は亜鉛合金、すなわち量産されたモデルであることが判ります。また、銀メッキが施されていました。ポットの取っ手の部分付け根が、完全に折れてしまっています。しかも瞬間接着剤で着けようとした跡・・・・。亜鉛合金は低融点で溶け、またメッキ処理に影響が出るため、半田付・蝋付・溶接は物理的に無理のようです。破断部分に瞬間接着剤が残っているので、まず清掃から始めます。(瞬間接着剤が着いていると、修理が出来ませんのでご注意下さい)。面と面で密着するように断面を整え、位置決め・ずれ止めの「ひっかかり」を作ります。最後はエポキシ系硬化樹脂にて接着といった処置となりました。

そもそも古い鍍金(メッキ)製品の根本修理は不可能です。

元々永く使うことを考慮されていません。仮に手の込んだ彫金などがほどこされていたとしても、人件費が地金代にくらべてはるかに低かった時代に製造されたものです。素晴らしい装飾の品でも今回のように、接着剤を使った3~5年くらいもつ応急修理しか方法がありません。もしお客様がアンティークの品をお求めになるなら、メッキの品(主に銅合金で、白銅、ホワイトシルバー、コインシルバー、アンチモニーなどと呼ばれていることがあります。)は絶対に避けられたほうが良いでしょう。銀・シルバー製のものをお薦めします。

tea pot

 

修理について

弊堂では、洋の東西を問わず金属工芸品の修理を承っております。日々作り続けているもの、オーダーメイド品の他にも、傷んだ金属工芸品の修理も私どもの大切な仕事です。物理的な可否や工費の大小はございますが、まずは私どもにご相談ください。詳しくは「修理について」をご覧ください。

※他社製品の修理に関して:金属製品は他の素材に比べ寿命が長いことから、業者にはその製品の修理の責任があると弊堂は考えています。また製造業者は素材や技術を熟知している分、弊堂よりも工賃が安価に収まることの方が多いです。メーカー・販売店が現存する場合、先ずその業者に修理をご依頼ください。