七味唐からし調合器

2008.03.05  お誂え 食の器

用途としては大変珍しい特注品の一つをご紹介いたします。

善光寺参りで有名な七味屋さんから頂戴した、片口状の器の特注品製作のご依頼です。店舗を大改装されるにあたって、七味唐からしを上手く混ぜ合わせ、缶や袋に詰めるための非常に特殊な器をご用命いただきました。もちろん類似した既製品などはありませんので、白紙の状態からの製作になります。ほぼ1カ月がかりの仕事になりました。

七味は厳選された素材をお好みに合わせて調合し、かつ手早く容器に詰めねばなりません。手に馴染み、扱いを考慮し緻密に計算された形状、美しさ、軽さにも重点が置かれました。この器のデザイン・設計は、京都のデザイン事務所が手がけられました。用に沿うだけでなく、店舗との調和も考慮されています。

ご承知のとおり、七味唐からしは粉状のため、容器へ移す際に器に入れた七味が全て排出されなくてはなりません。全ての角(底、肩など)が滑らかな丸みを帯びています。

 

容器へ移しやすいように、注ぎ口も緻密に計算されています。通常の酒器などは厚みが2ミリ前後あるのに対し、この調合器は1ミリの厚みをしています。強度と耐久性を考慮し、限界まで薄くしました。非常に軽やかな器となりました。

こういった鍛造品は、構成する曲面が複雑であり、設計図に忠実であればあるほど製作が困難です。フリーハンドで思いのままに製作することとは違った、面白さもあります。高度な技術を要する仕事は、職人冥利に尽きます。