創作 煙管(キセル)

2015.02.02  装い

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煙管(キセル)は特に江戸期に入り、武士、豊かな町民の間でステータスシンボルとして、根付同様に日本独自の工芸デザインの発展に寄与しておりました。洗練されたフォルムの美しさもさることながら、時代の職人の粋、アイデンティティ、遊びごころが反映され、 様々な意匠が残されています。

紙巻きたばこの台頭とともに急速に衰退し、また健康志向や嫌煙運動とも相成り姿を消した煙管文化ですが、いまなお熱烈な愛好家や収集家によって細々と生きながらえています。
私ども清課堂では、用と美として工芸品として向き合うだけではなく、製造技術はもちろん知恵と工夫が注がれた構造、時間をかけて洗練されてきた美を次世代へ文化資料として残すために作り続けております。

ここでは、現代に生きる感覚を活かして創作でお作りした煙管たちを交え、清課堂の代表作をご紹介します。

純銀手綱煙管
純銀 手綱煙管

代表的煙管「手綱形」。煙管屋の看板にもよく用いられていた、日本の煙管のを代表する形。純銀の板を延べて製作されてい、見た目だけではなく内部もらせん状の三次元構造をしています。火口から吸い込まれた煙が対流し、美味しくなるように設計されています。美しさもさることながら、先人の知恵が注がれた優秀なデザイン。

 

純銀十六菊煙管

菊花紋(きくかもん)をモチーフにしました。
菊は高貴を表す草花、四君子(菊、梅、竹、蘭)の一つで、重陽の節句に菊花酒を飲む風習にもあるように、邪気を払い、長命を祈るモチーフでもあります。菊文様は吉祥文として好まれ、美術、工芸、菓子など幅広く用いられています。

 

銀/鍛鉄安宅船煙管

室町時代後期から江戸時代初期にかけて、日本独自の軍艦「安宅船(あたけぶね)」が活躍しました。
重厚な装甲を張り巡らせた巨大な船体はまさに力強さの象徴であり、世の男たちの憧憬を集めていました。その安宅船をモチーフに生まれたのがこの鉄製煙管です。装甲をイメージさせる雁首と吸い口は矢をも跳ね返す鎧のよう。羅宇は、全長1メートルにもおよぶ鉄を6つに割り再び接合したものです。重量も他の金属製煙管とは別格で、所有する人を選ぶ男の煙管といえるでしょう。

 

ダマスカス鋼/純銀喧嘩煙管

喧嘩煙管(けんかきせる)は主に江戸期に用いられた煙管です。
町人は刀の所持携帯が許されなかったため、護身用の鉄棍棒として下級侍に対抗するための武器として鉄製の煙管を造らせました。明治維新後には廃刀令から、この喧嘩煙管を持ち歩く士族達もいたそう。
この喧嘩煙管は羅宇を特殊鋼鉄「ダマスカス」で、火口、吸い口を純銀にて製作しました。羅宇ダマスカス部分は、第一回いまからまめさら金工公募展で山中源兵衛賞を受賞した加藤貢介によるものです。

 

煙管

 

 

Kiseru – long japanese smoking pipe

Kiseru is a long smoking pipe that Japanese people used in the Edo period, before the spread of rolling cigarettes at the beginning of the Meiji era.

The samurai wore their own personalized kiseru token of their prestige and their noble spirit.

 

Kiseru – longue pipe traditionnelle japonaise

Kiseru est une longue pipe japonaise que les gens utilisaient à l’époque Edo, avant la généralisation de la cigarette à rouler au début de l’époque Meiji.

Les samouraïs portaient leur propre kiseru personnalisé, témoignage de leur prestige et leur noblesse d’esprit.

 

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