Ciro Cipollone個展「 CIRO “Mani – Materia – Poesia”」ご報告

2013.07.12  Ciro Cipollone 展覧会 展覧会レビュー

Ciro Cipollone個展「 CIRO “Mani – Materia – Poesia”」を平成25年5月21日(火)~6月9日(日)に開催いたしました。
清課堂は、京都府が平成16年度から開始した京都とトスカーナとのビジネス交流プログラムに積極的に関わっています。その交流をきっかけに「清課堂で個展を開きたい」とCiroからのリクエストが舞い込んだのは1年も前のことでした。

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Ciro こと Roberto Cipollone は1947年イタリア・アブルッツォ州ペスカーラに生まれました。父親の鋳物工場で幼少期を過ごしたことから金属工芸に触れ、芸術の勉強と仕事に従事する傍ら、化石・発掘物研究に熱中します。その後、トスカーナ州フィレンツェ近郊の町に拠点を構え、イタリアをはじめヨーロッパ各国において数多くの作品を発表してきました。

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木材、鉄、岩、布・・・。彼は作品に様々な素材を用います。いずれも人々から忘れ去られたものたちですが、Ciroはそれらを『命豊かなもの』と捉えて構成しています。

 

彼の作品には彼自身の宗教的な真理が投影されていますが、それよりも、その多くは自然や読書からインスピレーションを得ています。特に農村の道具を用いその生活を象徴的に表したり、子どものような無垢でユーモアが溢れていたり、シンプルな神話を表現したり。また、現代社会への皮肉を秘めていたり。

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Ciroにとって日本での初個展となる清課堂での開催は、長い構想をかけて実現しました。遥か遠い異国からやってきた作品たちが、茶室や蔵という和の設えの中で語る歴史や物語は実に奇想天外と言っても過言ではないでしょう。素朴な素材とシンプルな組み合わせによって生み出された作品は、華やかさには欠けるものの力強い普遍性を持ち、一度見たなら忘れない強烈なインパクトを与えてくれました。

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前述した宗教観や言葉の壁など様々な困難もありましたが、無事終了いたしました。ここにご報告申し上げるとともに、開催にあたりご協力いただきました関係者の皆様に御礼申し上げます。

七代目 山中源兵衛